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調の意味について その① [音楽理論]

わ~い、久しぶりに自分のブログに入れました!
(って、喜んでいいのか~?)(^_^;)

今日は、やや真面目に西洋音楽でいうところの、調性、(ほら、あのハ長調とか、ト短調とかいうヤツですよ)の持つ意味について、考えてみたいと思います。

だいたい、え?、「ジャイアント・ステップ」のコード進行の考察はどうなってるの?、というお尋ねですか?
・・・・ただ今、下請け(息子)にサイクル・オブ・5THの図を描かせていますので、もう少々お待ちくださいませ。 素晴らしいイラスト入りで、幾何学的な説明をさせていただく予定でござる。 m(_ _)m

では、気を取り直して・・・♪

子供の頃、○長調とか×短調に関しては、一般的に明るい感じとか、暗い、悲しい感じという風にしか、習いませんでした。

しかし、それだけじゃないでしょ、それぞれの調があるなら、なんか意味があるでしょ、と思い続けて幾星霜。(大げさか?)
いろいろと調べてみたのですが、結構、これが大変なことでした。

だいたい、楽器の持つ特性によって、演奏しやすい調、しにくい調がある位のことはわかるし、その楽器が一番美しく聞こえる音域の調を選んで、調整を決定して作曲する、それくらいのことは見当がつくのですが。

私が知りたかったのは、そういう技術的というか、構造的なことではなくて、その調固有の理念というか、意義というか、意味というか、そういうものが、西洋にはあるに違いないやろ、ということなのです。

なんで、ヘンデルは「ハレルヤ」をD(ニ長調)で書いたのか、べつにハ長調でも良かったはずなのに、なぜニ長調でなければいけないのか?

なぜ、「魔笛」のザラストロは、自分ひとりだけホ長調で歌い出すのか?
ほかの人はその時、違う調で歌っているのに、なぜ?ど~して?

モーツァルトがご尊父のレオポルドさまに、「なぜ、お前はあの曲をこんな調で書いたのか。」とひどく叱られたらしいけど、なぜ?

とまあ、こういう疑問がず~っとあったのです。 この手の疑問は、基本的なことの割にはどの本にも書いてなくて、教えてくれる先生もいなくて、困ってしまうのですが、やっぱ知りたい!

たとえば減5度の音程(トライトーン)は不安定だ、と、どの楽典にも書いてあるけど、なんで不安定なのか、理由を書いてあるテキストはほとんどありません。
テキストの著者さえ、知らないのではないか、と思えるほどです。(ひど~い)
(これはうちの生徒さんには、ちゃんと理由を教えていますので、この次、またアップしましょう。 忘れちゃった~、と言うキミ、私にしてください。)

いったい作曲家は何を根拠に調を決定し、曲を書くのでしょうか?

もしかしたら、西洋の人なら誰でも知ってる暗黙の了解というか、自明の理みたいなものがあって、「え~、そんなことも知らないで、レッスンやってたの?ジャップは!」なんて、いわれるのかもしれないけど、

一生懸命、調べてきました参考にしてください。

 ハ長調 (Cmaj,Cdur)
   
この調は「光、永遠、単純、子供の世界、終わりのないもの」などを表します。

ピアノでは白鍵ばかりなので、一番易しい調だと思われていますが、もしかするとそうでもないかも。

ハ長調の名曲は、ハイドン「ロクスラーヌ」 モーツァルト「ジュピター」 ベートーベン「運命」のフィナーレ部分、 シューベルト「グレート」 などです。

単純明快で、あまり深刻な表現やテーマには不向きとされている調だそうです。

 ハ短調 (Cm,Cmoll)

ハ短調は「悲劇的で不幸な愛、悲痛、深刻」を表します。

この調で書かれた名曲をあげると、モーツァルト「ハ短調ミサ」 ベートーベン「悲愴」「運命」 マーラー「復活」 など、まあ出るわ、出るわ、深刻で悲痛で、重厚な曲ばかり。 (ーー;)

やっぱり作曲家のみなさまは、ご存知のことだったのですね。 わたしだけ~?
知らなかったの?

 変ニ長調(嬰ハ長調) (D♭maj, C♯maj)

この調に関しては情報がありません。
ご存知の方、教えてください。 

これは、ロマン派以降になりますが、D♭はロマン派の調といわれるようになります。 それほど、ロマン派のピアノ曲はこの調で書かれているのです。

ショパン「雨だれ」「子犬のワルツ」 ドビュッシー「月の光」 リスト「ためいき」
などなど。 
ピアノに関して言うと、この調はほとんど黒鍵を弾くので、てこの原理でやわらかい音が得られます。その音色がロマン派の作曲家に好まれたのでしょうか?

個人的には、私にとって一番音が立体的に聞こえる調です。
和音なども、くっきりと立ち上がったように聞こえます。 ためしに、「月の光」をハ長調に移調して引き比べてみると、魅力半減というか、平板で、まったく興ざめしてしまう感じがしますよ。

 嬰ハ調 (C♯m、D♭m) 

 この調に関しても、情報がありません。

ベートーベン「月光」 ショパン「幻想即興曲」などピアノ曲があります。

この事実から推測すると、幻想的な感じを意味するのでしょうかね?

 ニ長調 (Dmaj,Ddur)

あ~、やっとこさDまできました。 もう眠いので、これを書いたら、休みます

ニ長調は「祝祭的なもの、お祭り騒ぎ」という意味を持っています。
Dという文字は西洋の人にとって、何か神がかり的なものを連想させるのだそうで(理由は?)、崇高な精神を表現する時に使う調なのだそうです。

だから、神の栄光を称えて歌う「ハレルヤ」はこの調でなければダメだったのですね。 納得、納得。

これはヘンデル以降かもしれませんが、ニ長調は「ハレルヤ」の調、ともされています。

ニ長調の名曲は、バッハ「ブランデンブルグ5番」 モーツァルト「ハフナー」 マーラー「1番」など。
輝かしく、高貴な曲が多いですね。

 ニ短調 (Dm, Dmoll)

この調はニ長調とは対極的で、「悪魔の調」とされています。

なんでか? わかりませ~ん。  オペラ、宗教曲では、人間が激昂する場面がこの調で書かれます。 悪魔に取りつかれて、取り乱す、といったところでしょうか。

また「恐怖、修羅場」を表現するともいわれますが、これは前述の悪魔と関連して、当然のことと考えられますね。

この調の名曲は シューベルト「死と乙女」 ベートーベン「テンペスト」、それから「レクイエム」、モーツァルトもフォーレもスッペもDmで書いています。

ああ、それとモーツァルトの「魔笛」の夜の女王のアリアの、前半部分。
確か、ニ短調でしたよ。 
復讐の炎がめらめらと燃えるような、コロラチュラ、これ以上の怒りはない、という感じがよく出ている名曲ですね、

では、今日はここまで、ってもう夜中の2時ぢゃ・・・・

つづきはまた明日ね。  おやすみなさい。


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不可聴音域の不思議 [音楽理論]

皆様、お待たせいたしました。 更新しようとすると、電話が鳴ったり、さあやろうと思うと、サイトが重くて自分のブログに入れなかったり、でした。

 あ、そうそう、前回の「バラード」について、わざわざメールをくださって「いいですね~なんで、もっと早く教えてくれなかったの」という、うれしいお叱りまでちょうだいしました。

AKIさん、これからもごひいきに。あ、皆様も、です。

さ~、今日もがんばるぞ!ってもう、真夜中ですが・・・

え~、今日は不可聴音域について、お話したいと思います。(って、勝手に私が決めただけですが、ハイ)

不可聴音域とは、人間の耳には聞こえない音域のことをいいます。

人間の耳が聞き取れる音は、周波数で言うと16~18000Hzの範囲とされ、それ以下、(低周波)それ以上(高周波)は鳴っていても、聞き取れないとされています。

しかも、可聴範囲の16~18000Hzも、だいたい24歳くらいまでがピークで、後は衰える一方だそうです。 (とっくに越えてるわ。悲し~)  

しかし、犬は20000Hzくらいまでの音を聴くことができ、人は犬笛が鳴っていても聞こえませんが、わんちゃん達にはしっかり聞こえているのだそうです。 犬笛は犬が聞き取れる高周波を出すように、作られているのですね。

レコード(LP等)の時代が終わり、CDが登場した時、聞こえないなら、いらないじゃないかということで、不可聴音域はカットされて録音されるようになりました。というわけで、普通のCDでは、50Hz以下と、20000Hz以上がカットされています。

しかし、なぜか耳の肥えたオーディオファンの皆様からは、「CDは音がうすっぺらい。」とか、「音がとげとげしている。」などの苦情が寄せられたのです。 手入れが大変なレコードに比べ、保存もきくし、手入れもほとんどいらないCD,コンパクトで場所も取らないし、いいことずくめ、と思われたのに。

ところが最近、音に関する研究が進むにつれ、そのオーディオファンの皆様の耳が、いや、人間の耳がいかに素晴らしいものであったかが、正確なものであったかが、除々にわかってきたのです。

 なんと邪魔者扱いされてきた2万Hz以上の音を聞くと、人間の脳からアルファ波がじゅ~っと出て、気持ち良くなるのだそうです。(たぶん、じゅ~と音はしない・・)

アナログのレコードやカセットテープには、そういった不可聴音域の音までもが録音されているため、聞いた時の満足感が違うようなのです。

2万Hz以上の音がよく出ている音楽として、ガムラン(インドネシアはバリ島の民族音楽)がありますが、このガムランを被験者に聞かせ、脳からアルファ波が出ているのを確認した後、今度は2万Hz以上の音域をカットしたガムランを聞かせると、全くアルファ波が出なかった、という実験のVTRを見たことがあります。

ガムランと同じく、不可聴音域の音をたくさん出している音楽に、わが国の謡曲、つまり能楽の音楽があります。

あの、鼓とか、おおかわとか能管などが使われている、よ~おっ、ポン!というあれですね。

これがなんと、100kHzもの音が出ていることがわかったのです! (実際は聞こえませんが・・・)

つまり、2万Hzの5倍ですね。 

そうすると、これは聞こえていない音域の方がむしろ主力であるという点で、とても神秘的な音楽であるといえるでしょう。

実際に能楽堂へ行って、能を見ていると、何ともいえないリラックス感があり、自分の感受性が鋭くなっていくような気がします。(管理人は「O槻能楽堂友の会」の会員。 最近行けてないので、行きたいよ~

能楽の「幽玄の世界」は、この不思議な音楽によって醸し出されているのかもしれません。

特に、能に使われる「能管」という横笛ですが、この能管が出す「ひしぎ」と呼ばれる音、これも2万Hz以上の音が確認されており、不思議なことに、「ひしぎ」が使われるのは、幽霊や、神といったこの世ならざるものが登場する場面なのです。

観客はこの「ひしぎ」を聞いて、知らず知らずのうちに脳からアルファ波を出し、(というか、出さされ)気持ち良くなったり、神秘感にうたれたりしている訳ですね。

実は「ひしぎ」は石笛(いわぶえ)という、出雲地方の神社などで儀式に使われる楽器の音をまねた音なのだそうです。

石笛は石に穴を一つ開けただけの簡単な構造ですが、6万Hzの音が確認されています。 そして、神おろしの儀式のときに、神主さんによって吹かれるのですが、お参りしている人々はなんともいえない陶然とした気分になるそうです。

ガムランも石笛も、能管も、そういった意味では、宗教的なもの、神秘的な神の世界を感じさせる力を持っており、昔の人が不可聴音域などという言葉など知らなかったにもかかわらず、その事実を察知していた、ということは、驚嘆に値します。(゜o゜)

人間の感性って、凄い!

ある音を聞くと、神を感じたり、神秘的な気分になったりすることを、ちゃんと知っているんですね。 これはもう、本能といってもいいのかも・・・・

それで最近では、SACDなどといって、不可聴音域まで入っているCDや、それを聞くためのオーディオが発売されていますが、まだまだ、お高い・・・。

そこで見直されてるのが、昔懐かしいLPとレコードプレイヤーです。

大手レコード会社の中には、絶版になってCDにもなっていないレコードを、復刻させるところも出てきました。

LPの盤面に指を触れないように気を使い、静電気よけのスプレーをかけ、そーっと表面のゴミやほこりを拭い、ターンテーブルにのせる。

そして、針を飛ばさないように、これまたそーっと落として、忍び足でその場を離れ、正座して静かに耳をかたむける。(動くと針が飛ぶから

やがて、ぷちぷちというスクラッチノイズがおさまり、大好きな曲が始まる・・・

これって、まるで宗教的儀式じゃありません?

でも、音楽を聴くのに、これくらいの労力を使ってもいいんじゃないでしょうか?

それくらいの「ありがたみ」があってはじめて、日常のなかの非日常が味わえるのではないでしょうか?

てなことを、三日もかかって書きました。(わはは、やっと更新できた

 

で、興味のあるかたは、↓で「ひしぎ」を聴いて、不思議な気分になってね。

「横笛研究会」           能管の「ひしぎ」が聞けます。(ただし2秒)

(お手数ですが、検索をお願いします。「能管」の最後の部分にひしぎの音が入っています。)


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