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調の意味について 補足 [音楽理論]

 おかげさまで全調踏破いたしましたが、今日は不十分だったところや、後になってわかったことなどを補足したいと思います。

そもそも調に意味というか、性格づけで有名なのは、バロック時代のマッテゾンという作曲家で、彼の「新設のオーケストラ」という著書のなかで調性格論が述べられています。

しかし、彼もまたいろいろなところから引用をしてきているらしく、はっきりとこれだ!というような原典みたいなものは、見つかりませんでした。 しかも、マッテゾン説に異論を唱えている学者もいて、これは相当やっかいな感じです。

おそらく各地で伝承されてきたものなどがあり、それを集めてきたのではないでしょうか?
今は、そう推測するしかないと思います。

インドのラーガ(音階)なんかも何百種類とあるのに、その一つ一つに意味があって、もお、ややこしいことこのうえない、というくらいですから、西洋の音階にそれがあっても不思議ではないと思います。

それから、調べていく中で、つきあたった問題の一つに、ピッチの問題がありました。

現在私たちが演奏している楽器は、1点イ音(つまり真ん中のラ)が約440Hzに調律されており、この楽器でさまざまな調を演奏しているわけですが。

(約440Hzと言った理由は、最近のオーケストラでは442とか、445とか、少しづつ高くチューニングされるのが主流になっているからで、 その方が輝かしい響きになるからです。)

このグローバルスタンダードの440Hzは、1939年、ロンドンで行われた国際会議で定められたもので、それ以前はもっと低いピッチだったのです。

たとえば日本では1948年に世界標準440Hzに改められるまでは、ラ=435Hzを使っていました。 同様に各国それぞれバラバラのピッチでやってたらしいので、世界標準が必要とされ決められたのでしょう。

ですから、バッハや、ヘンデルや、モーツァルトが演奏し、作曲していたピッチは、今私たちが演奏しているピッチとは、違っているということなのです。

バロック時代はラ=440Hzは一般的ではなく、ドイツのパイプオルガンは465Hz(コアトーン)、木管楽器とチェンバロは415Hz(カマートーン)、ヘンデルなどが使っていたフレンチピッチでは392Hz(ティーフカマートーン)と、まあさまざまなピッチが使われていました。

465Hz・・・440より、約半音高い  
415Hz・・・440より、約半音低い  
392Hz・・・440より、約全音低い

ということになり、それぞれハ長調を弾くと、変ニ長調、ロ長調、変ロ長調に聞こえることになってしまいます。

それじゃ、その時代のマッテゾンの調性格論なんて、現代には無意味じゃん、と言いたいところですが、

作曲家は本歌取りじゃないけど、必ず自分より以前の作曲家の影響を受けて曲を作るものですから、やっぱりマッテゾンの考えはピッチが変わっても伝統として継承されているんじゃないでしょうかね。(と、無理やり解決)

たとえば、「英雄の調」とか、「死を表現する調」とかありましたよね。

でも、現代の楽器でピッチで演奏される自分の曲を聴いたら、モーツァルトや、バッハは何て言うでしょう。

「違う、違う、そんなんじゃないよ」って言うでしょうか。 それとも 「ピッチが違っても、いいね~、名曲じゃない」っていうでしょうか。

後者であってほしいですね、これだけの長い時間、人々の心を慰め、癒し続けてきた名曲ですもの。

ところで、最近では当時のままの楽器とピッチで再現、演奏されているCDがたくさん出ていますが、これが聞けない人たちがいます。

所謂 「絶対音感」の持ち主で、融通のきかないタイプの人です。

私の生徒にもいますし、講師仲間の先輩、同輩、後輩のなかではむしろ「絶対音感」が当たり前で、私のような「相対音感」は珍しい部類なのですが。

特にラ=440Hzで訓練された「絶対音感」は、オーケストラに入れない、古楽は聞けない、民謡とか、民族音楽は音痴に聞こえる、442Hzに調律されただけで眩暈がする、吐き気がする、移調奏ができない、ともうさんざんです。
(ふっふっふ、昔いじめられたので、仕返しをしています)

こんなんでも「絶対音感」をつけたいんでしょうか? 「絶対音感」をつける教室は結構流行っていて、通信教育まであるそうですが。

それに「絶対音感」があっても音楽性や、表現力とは関係ないよ、ヘタクソな人いっぱい見たもん(聴音のテストの時は役に立ちますが)

近い将来、ラ=442とか5になったら、どうするんでしょう。 古楽の典雅な響きを聞けないのも、可哀想ですね。

と、ひとしきり復讐は終わったのですが、えと、なんでしたっけ?

年取るといかんわ、話は脇道にそれるわ、しかも長いわ、本題忘れるわ・・

あ、そうそう、それでその後わかったことですが、

イ長調・・・・情熱的なことを表現

だそうです。

また、詳しいことがわかったら、その都度補足したいと思います。

あ~、これで心おきなくジャイアント・ステップにいけそう~

 後期バロックの室内楽曲集                

    ←マッテゾン作曲のソナタが入っています。

      ト短調です、絶望に打ちひしがれる調でしたね。

      「後期バロックの室内楽曲集」

 

 


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コメント 6

スザンナ

はじめまして、こんばんは。
調の意味、興味深く読ませていただきました♪
私は今、モーツァルトの弦楽クインテットK516 を友人たちと練習しています。”絶望にうちひしがれる”ト短調なんです。練習する度に絶望感にうちひしがれ・・・(意味が違いますね 汗)
タルティーニの「悪魔のトリル」、聴いたことがなかったのでとても参考になりました。ありがとうございます♪
by スザンナ (2006-10-09 23:18) 

hirosonya

おお!スザンナさん、いらっしゃいませ。
(ちょっとフォスター風)
わ~、弦楽ですか、いいなあ、あこがれるなぁ(*^_^*)
練習の時絶望に打ちひしがれるのは、音楽やる者の悲しい性でございますよ。
めげずに頑張ってくださいませ。(^^♪
by hirosonya (2006-10-10 08:54) 

はっさく

初めまして。趣味でピアノを習っている者です。
調の意味についてのお話、とても面白く読ませていただき、ためになりました。
実は今ショパンのノクターンOp9-2をやっている所なのですが、先生から全体的なイメージの一例として「世界平和を願うような、戦争を悲しむような気持ち」と言われたのです。なるほど、変ホ長調=「神聖なる愛」ですか!そういう意味で言われたのかしら・・・?今「へぇー」が止まりません。
今後の更新楽しみにしています♪
by はっさく (2006-10-10 12:40) 

hirosonya

はっさくさん、初めまして。
私、はっさくとか、文旦とか、だ~い好きでございますよ、関係ないけど。(^_^;)
もともとノクターンは、カトリック教会で夜の祈祷の前に捧げられたものだそうです。
ですから、先生がおっしゃるように「世界平和」を祈るような気持ち、というのは当たり!かもしれませんね。
でも、そんなの漠然としすぎてわかりにくいので、はっさくさんのいとおしい人、大好きな人、遠く離れている友人などを思い浮かべて弾く方が、ずっと感情移入できますよ。
きっと。 素敵なはっさくさんのノクターンになるように、頑張ってみてください。
by hirosonya (2006-10-10 13:02) 

Kiichi

普段殆ど、無意識に受け容れている
曲の調性に意味がある。なんて、
専門的に勉強してなかったら、
殆ど気付きもしないでしょう。
Jazzの世界なんて、KEY変えるの
なんて、当たり前ですもんね~。

絶対音感…無くてよかった…でも、
耳コピ、楽やろな~。でも、
民族音楽聴いたら、気持ち悪くなるって
嫌っすね~。

次は「ジャイアント・ステップ」!?
コルトレーンも凄いけど、
この全調の意味のレポートも、
充分「ジャイアント・ステップ」ですよ。
by Kiichi (2006-10-11 00:13) 

月

hirosonyaさん、こん**は~
素晴らしいですね、ホントに!
勉強になります~
by 月 (2006-10-11 21:30) 

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