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私的ジャズ入門その① サラ・ヴォーン ウィズ クリフォード・ブラウン [Jazz]

私の生まれた家は、父も叔父たちもみんなが洋楽大好きという家だったので、ものごころつく以前から、強制的にいろんな音楽を聞かされて育ちました。

もしかしたら、定かではありませんが祖父もそうだったんじゃないか、と思えるほど昔のSPレコードもたくさんありました。

あ、SPというのは、蓄音機にかけてたような、78回転のふる~いレコードです。 プラスチックが発明される前の、あれは何と言うんでしょう?、エボナイトですか?セルロイドっていうんでしょうか、とにかくもろくてすぐに割れてしまう、はかない存在のレコードです。

で、父はクラシックとタンゴ、叔父たちはそれぞれラテン、ジャズ、ロックを愛好し、それこそ1日中いろんな曲が流れていたみたいで、ペットの犬までがお気に入りの曲がかかると、「わお~ん、うおお~ん」と歌いだすという、なんか気が狂いそうな環境で、半ば洗脳状態で育ちました。

なので、最初に聞いたジャズ、というのは、きっと他にあったのでしょうが、覚えていないので、自力で最初に買ったアルバムを紹介します。

Sarah Vaughan W/ Clifford Brown  ← サラ・ヴォーン with クリフォード・ブラウン

  これは、間違いなくジャズ・ボーカルの歴史的名盤!

  バックがすごい! クリフォード・ブラウンにハービー・

  マン、etc. アレンジも素晴らしい。

実はこれを買ったきっかけを与えてくれたのは、ブルース喫茶なる店をやっていたM氏です。

その頃、私は数学の時間に立たされてばかりの生活に嫌気がさし、勇敢にも学校の門を乗り越えては脱走し、今はそういうお店あるのかしら?、当時はまだクラシックばかり聞かせてくれる喫茶店とか、ジャズ喫茶とか、ロック喫茶とかあって、コーヒー一杯で好きな曲、聞きたい曲をリクエストできるのですが、そういう店に逃げ込んでは、ひたすら音楽を聴く生活をしていました。(^_^;)

数学の授業が2時間続きだったので、結構余裕があり、いろんなジャンルの音楽が聴けました。 バッハのブランデンブルグを1番から6番まで聞いたのも、名曲喫茶で、この蛮行(?)を私のピアノの先生は、「そりゃ、ええこっちゃ。あんた、わけのわからん数学勉強しても、しゃあない。その方が、よっぽどよろし。」と、ほめてくれました。(ーー;)・・・・

この先生も、ものすごくユニークな方だったことは、言うまでもありませんが・・・

そういったお店の中に、ブルースばかり流しているM氏の店があって、彼は常々「エルモア・ジェイムスこそが、最高や!」と豪語していたのですが、私にはどれが最高傑作で、どれが最低なのかさっぱりわからず、(だってどれも3連符のボトルネックで同じに聞こえるので)違いがわかりたいと思って、行っていました。

はっ、今気づいたのですが、ひょっとしてこれは客を呼ぶためのM氏の作戦だったのでは・・・?

で、ある日M氏の店のドアを開けると、いつものようなエルモアの「じゃらら、ららら、ららら、ららら」という3連符ギターではなく「しゃば、どぅば、でぃっでぃ、どぅ、どぅばぁ~」という女の声が聞こえてきたので、私は立ちすくみましたね。

その声、歌のうまさ、さらにスキャットと各楽器の4バースごとの掛け合いのよさ、どれをとっても「これはすごい!」と、思わずうなってしまいました。

私はそれまであまり女性ジャズボーカルというものを聴いたことがなかったので、ちょっとした衝撃でした。

はっ、しかしここは、ブルース命、最高の店ではありませんか、こんなものかけて良いのでしょうか

われに返った私は、カウンターのむこうでお皿を拭いているM氏に、「これ何?!こんなんかけていいの!」とちょっときつめに言ってやりました。

(かねがねM氏は「ブルース以外の音楽を聞くヤツはアホじゃ。」と沖縄なまりの大阪弁で私をいじめていたので・・・)

すると逆ギレしたM氏は、「一日中こんなとこでブルースばっかし聞いてたら、気が狂いそうになるんじゃ!たまには、こんなん聞かんとあかん!お前に何がわかるんじゃ!」と言い返してきました。(客にですよ、(^_^;)

「わかりませ~ん」と言って、店を出たその足で買いに行ったのが、この「サラ・ヴォーン ウィズ クリフォード・ブラウン」です。

そ~です。言い争いをしながらも、賢明にも私はカウンターの上に投げ出されたジャケットをしっかと読み取って、忘れないうちにレコード屋さんへ走ったのです。 わはは

それからというもの、まあ、はまったというか、なんというか、毎日のようにそれこそすりきれるほど聞きまくりましたね。

たぶん、今でも全曲歌えるんじゃないでしょうか。
バラードが多いんですが、どの曲をとっても秀逸なできです。

ジャケット裏の写真を見ると、マイクが1本あるだけの録音風景で、きっとメンバーは自分のパートになると、かわるがわるこのマイクの前に進み出て、4小節のアドリブを演奏していたんでしょうね。

今のように、何十というトラック数があるわけじゃなく、オーバーダブができるわけじゃなく、それこそ一発勝負の緊張感あふれる録音をしていたんじゃないでしょうか?

ですから、その頃は失敗しないように、録音の時だけはアレンジをしっかりして練習し、本番に臨んだ、と聞いています。
(即興性こそジャズの生命であり、その独自性でもあるのですが、経済的原理には勝てません・・・。)

確かに「バードランドの子守唄」などは、アレンジしたな、とわかるのですが、なんともいえないリラックス感があって、とても自然な感じで演奏していて、サラの声もつやつやで、心地よく聞けます。

余談になりますが、こういったしっかりアレンジされたボーカルものは、レコードコピーの練習にぴったりだと思います。
というのは、人の声の音域は楽器ほど広くないので、聞き取りやすいからです。

私も初めてコピーの練習をするとき、この「バードランドの子守唄」を選んで書き取りのトレーニングをしました。
大好きな曲だったので、とても楽しくできたことを覚えています。

今でも「バードランドの子守唄」というと、やはりこれしかない、これ以外の「バードランド」もいいのはわかるけど、やっぱりサラとクリフォードの「バードランド」、これに限るな、と思っています 

今からおよそ半世紀も前の録音で、古いことは古いのですが、もう歴史の荒波を十分にくぐって残った、という貫禄も感じさせてくれます。

絶対聞いて損はさせません 私のお勧めです 

 

 

 


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モーツァルト ~ジャズ・ミュージシャンの場合~ [音楽雑談]

モーツァルト生誕250年だそうで、記念のCDセットが出たり、コンサートが行われたりしていますが・・・

モーツァルトのピアノ曲は、どこか優雅というか、典雅というか、それでもって可愛らしいところもあり、けっして超絶技巧を要するということもなく、どちらかと言えば弾きやすい、といえるかもしれません。

でも、それだけに、「こうでなくっちゃ!」と思う人も多いらしく、さまざまな解釈があることも事実です。

あるコンサートのアンコールで、ピアニストが「ロンド」を弾いたのですが、「え~、そんなことどこに書いてあるの?!」と思うくらい、私が習ったのとは違っていたことがありました。(^_^;)

個人個人の好みはあって当然だし、個性的でいいと思うのですが、困るのは試験とか、オーディションのときです。
審査員がどういった好みを持っているか予測がつかないので、運が悪ければ不合格ということになってしまいます・・・

実際、私があるグレード試験を受けた時に、弾いている最中に後ろで2人の審査員の先生が言い争いを始め、「この弾き方じゃ・・・・」とか「それはおかしい」とかいう言葉が断片的に聞こえてきて、とても落ち着いて演奏できる状況ではなくなってしまったことがありました

このときはモーツァルトではなかったのですが、もちろん、落ちました・・・(ーー;)

後で厳重に抗議はしておきましたが、ことほどさように好みの違いというものは激しいものかもしれません。 
もっとも、この時の2人の審査員は犬猿の仲で、ふだんから角突き合わせている人たちだったそうですから、まあ、運が悪かった・・のでしょう。

そこで、最初の講師資格の試験を受ける時には、作戦をたてベートーベンのソナタを自由曲に持って行きました。
「モーツァルトは、あかん。 力技でいけ、ベートーベンにしなさい。」という当時の先生のアドバイスによりますが、私も今、生徒さんに同じことを言ってます

以前、たぶん10年くらい前だったと思いますが、偶然衛星放送をつけたら、チック・コリアとハービー・ハンコックがモーツァルトを弾いている番組が映って、くぎ付けになってしまったことがありました。

なんとピアノまでチョイスして、自分好みのモーツァルトを2人が弾く、という画期的なコンサートが映っていたのです。
びっくりした (゜o゜)

(ところが、あまりのことにびびって録画するのを忘れてしまったんですわ・・・・・・ あぁ・・・・

まあ、考えてみりゃチックはジュリアード音楽院出身だし、ハービーはデビューが、11歳でシカゴフィルと共演、という神童ですから、モーツァルトを弾こうが、ベートーベンを弾こうが、何の不思議もないのですが (^^♪

ジャズミュージシャンでクラシックのレッスンを受けて勉強を続けている、という人は意外に多いのです。
音楽に対して、境界を設けない柔軟な姿勢がそうさせるのかもしれません。

たとえば大御所、渡辺貞夫氏はバッハ帰天250年のコンサート出演をきっかけに、もう一度レッスンを受けたいと決心してクラシックの先生につき、練習を重ねたそうです。

主催者側は、どうやらジャック・ルーシュみたいなジャズ風バッハを期待していたらしいのですが、見事に裏切られたそうです。 

また、ジャズ・クラリネットの大御所、北村英治氏は自分の音楽に行き詰まりを感じ、「レッスンを受けたい」と思ったそうですが、氏がビッグネームすぎて「教えて」と頼んでも、皆、尻込みして断られるばかり。
そこで仕方なく探し回ったあげくに、自分のファンクラブに入っていた東京芸大の教授のところへ頼みにいったそうです。

ファンだったら断らないだろう、という目論見だったらしいですが、頼まれた方も、「え~っ、教えることありませんよ。」と最初は断ったそうです。

しかし北村氏の熱意と、ジャズではなく、クラシックだということで、引き受けてくれ、「北村さん、あなたのクラリネットはうるさい。今度までにこれを練習してきなさい。」と、「ちょうちょ」かなんか童謡の楽譜を宿題に出され、氏はそれを押し頂いて、レッスンに励んだということでした。

ん~、えらい あの年で、あの地位も名誉も得ている人が、この努力なんですから、我々凡人は押して知るべし、ですね・・(^_^;)

あ、そうそう、ジャズ・ピアニストの小曽根 真さんも、ず~っとクラシックのレッスンは欠かさないそうです。

  で、さっきのチックとハービーのモーツァルトを聞きたくなって探してみましたが、見当たりませんでした。

が、こんなんありました。 ↓CHICK COREA PLAYS MOZART  K466

http://www.youtube.com/watch?v=C1OQ5AOtWag&mode=related&search=

チックのやせ方から見て、たぶん70年代後半か、80年代初期頃のものと思われます。 新日本フィルとの共演、指揮は田中良和さん。

それからそれから、なんとキース・ジャレットも

http://www.youtube.com/watch?v=P-PsWkCIxzE&mode=related&search=

そんでもって、これはキースとチックの共演です

http://www.youtube.com/watch?v=M4i8G2USqe4&mode=related&search=

どうぞ、お楽しみください

残念ながら、ハービーハンコックのは見つかりませんでした・・・・
どなたか情報があったら、教えてください。 m(_ _)m


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イージーリスニング考 ポール・モーリアとジェフ・ベック [音楽雑談]

先日、ポール・モーリアさんが亡くなったというニュースを聞いて、今のイージーリスニングってなんだろう?と思いました。

かつて、一家に一枚ポール・モーリアといわれていた、ということで、私も押入れを探してみました。
そうしたら、ありました、ありました、ほれっ ↓  

                  

    例によって、携帯の画像でゆがんでますが・・・・・(^_^;)

なになに、ライナーノーツによると、これには 「恋はみずいろ」 「サバの女王」 「蒼いノクターン」 「エーゲ海の真珠」などが収録されていて、驚くのは題名知らなくても曲は知ってる、のがいっぱいあるということです。

たとえば、マジシャンがマジックのときに必ずかける 「た、ららららら~ん」というヤツとか,小学校の給食の時にかかっていたのとか。

ん~、さすがイージーリスニングの帝王、一家に一枚といわれるだけのことはあります。 だって、うちにもあったんだもの。 (ただし、私のじゃないです)

これなんですね、きっと。 
だれが聞いても、嫌な気分にならない曲というか、耳障りが良くて、さほど深刻にならずに聞ける音楽、これがイージーリスニングというものなのでしょう。

でも、これってすごいことですよね。 だれが聞いても嫌な気分にならないという、いわば万人向けの曲なんて、そうそうできるものじゃありませんよ。 
それにモーリア氏のアレンジも色彩感が素晴らしいし。

こういうと、かつて 「しゃらくせ~、そんな軟弱なの聞けるかよ~」と思っていた若き日の自分を思い出して、かなり恥ずかしいのですが・・・・ (^_^;)

それに今私は生徒さんにポピュラーピアノのレッスンをする時、ルート奏(左手でベース部分を弾く)の練習の時には、必ずといっていいほど 「蒼いノクターン」なんかのお世話になっているのです。 ああ、こんなことになるとは夢にも思わなかった・・

バカにするとこういう目にあうのです。因果応報というか、なんというか。 (笑)

で、イージーリスニングといわれる音楽ですが、一般にはゆる~いクラシック調を思い浮かべてしまうのですが。

ところが、ところが、これも発売当初はイージーリスニングに分類されていたそうで、びっくりしてしまいました。 (゜o゜)

Blow by Blow ← 天才ロックギタリスト、ジェフ・ベック様、一世一代

   の傑作  

   「Blow by Blow」 ~ギター殺人者の凱旋~

   なんとも恐ろしいキャッチがついています。

   ビートルズのプロデューサーだったジョージ・マー
                     チンと
ジェフが組んだ、革命的大傑作。 

                     ロックファン必携の1枚どえす。

 
こ、これが、なんでイージーリスニングなの??

どうやら当時、チャートではどこに分類したらいいかわからなかったらしい・・・・(ーー;)

ジャズ界では、帝王マイルス・デイビスが「ビッチェズ・ブリュー」を発表したくらいからロックへのアプローチが始まっており、それをクロスオーバーとか、フュージョンと呼び、ジャズの中のジャンルとして確立していたのですが。

ロック界では、クロスオーバー、ニューロックという言い方は1968年ころにはしていたのですが、その後、プログレッシブとか、ハードロック、ヘビメタ、という言い方に分かれていきました。

で、ELPやクイーンのように、クラシックの影響を受けたバンドは割りにあったのですが、このジェフのアルバムのようなギターインストロメンタルで、ロックからジャズへのアプローチ というのはたぶん、あんまりなかった。

だから仕方なく イージーリスニングに入れてしまったんだ・・・ ということなんでしょうかね 

ともあれ、「Blow by Blow」 は大ヒットしたわけですが、当のジェフは「なんでイージーリスニングなんだ?!」と、ずいぶん腐っていたとか・・・・・

今じゃ、ちゃんと「ギターインスト部門」があります。
  これもジェフの功績と言っていいでしょう。 

それにしても、ロックからジャズへのアプローチなのだから、せめて「ジャズ・ロック」と言ってほしかった。 当時でも、そういう言い方はあったと思うんですが (ーー;)

で、お宝、お宝 

↓は 「Blow by Blow 」のLPについていたポスターです。                        

                                     携帯画像でスマソ・・・・OTL  (まだデジカメに電池入れてないっす (^_^;)

 かっこいい~ 

裏はライナーノーツとコピー譜になっています。

当時30ン才のジェフ様の、お姿です。

ギターは今のテレキャスじゃなく、レスポールのオックスブラッド、足元には、「赤い狂犬」でしょうか? とにかくかっこいいっす!! ヤフオクで入手しました。(^^♪

ジェフの立派なところは、今年62歳なのですが、今でもこの頃のまま外見がちっとも変わってなくて、若々しいルックスを整形なしに保っているところです。

いったい何飲んでるのか、いっぺん聞きたい若さの秘訣!

あ、もちろんギターも、日々進化し続けているところがすごいんです

・・・・イージーリスニングからずいぶん離れてしまったみたい、今のイージーリスニングって何だろ?・・・・・

 


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私的世界三大ソウルフルボイス ③キング牧師 [音楽雑談]

いやいや、秋も深まってきましたね。 ちょっと体調を崩して更新できませんでしたので、今日は頑張って続きを書こうと思います。

世界三大ソウルフルボイスの3人目は、マーティン・ルーサー・キング牧師です。

音楽家ではなく、宗教家ですが・・・

英語の教科書などで知ってる、という方もたくさんいらっしゃると思いますが、アメリカ公民権運動の文字通りカリスマリーダーだった方です。

1960年代になっても、アメリカではひどい黒人差別が続いていましたが、それに対し完全と立ち向かい抗議をした彼は、そのために命を落とすことになってしまいました。

しかし、今のアメリカはどうでしょうか?

いまだに差別はあるかもしれませんが、60年代よりは確実に良くなっているのではないでしょうか?
たとえて言えば、ライス長官。 黒人で女性という立場で政府の高官というのは、おそらく当時想像さえできなかったのではないでしょうか。

今、私たちは何の抵抗もなくそれを受け入れ、ライスさんが黒人(アフリカ系アメリカ人と言うべきなんでしょうが)だということに、何の疑問も抱いてはいません。
むしろ、キャリアウーマンのファッションリーダーとして、彼女のファッションが注目されているほどの存在でもあります。

しかし、私たちは現実がこうなるために地の塩となって命を捧げ、散っていった多くの人の存在を忘れてはならない、と思います。

それは自分たちがその利益を享受することなく、後世の、後から来る若者たちのためになされた偉大な、ただ与えるだけで見返りのない無償の愛であり、アメリカの一つの絢爛たる時代精神であった、といえるでしょう。

そのキング牧師の演説 「I have a dream」(私には夢がある)ですが、インターネットというものができて、そのおかげで私もはじめて肉声に触れることができ、これを聞いてもう感激したものでした・・・

この格調の高さ、なんと詩的な、なんと美しい、なんという純粋さ・・・
そして、この魂を揺さぶるソウルフルな声

この時はまだウィンドウズ95くらいの時代でしたけど、めちゃめちゃ感動しました。 やっぱり、この時代のソウルミュージックなどには、この公民権運動の影響があったと思われます。

人間、一度はそういった逆境に身をおいて鍛えられないとだめなんでしょうかね・・・・

キング牧師も魂と声が一体になっている、数少ない一人だと思います。

私も「 I  have a dream 」くらいしか聞き取れんくらいの英語力ですが、それでも涙が流れました。
20世紀アメリカを代表する名演説といわれています。

 http://dreamer1.hp.infoseek.co.jp/king001.ra  ←ここからど~ぞ

「~私には夢がある。 いつの日か、私の幼い4人の子供たちが肌の色によってではなく、ひととなり、そのものによって評価される国に住む時がくるという夢が。~」

これを聞くとき、こういう天使のような、時代精神のような人々の活躍により、時代はつくられ、ありとあらゆる差別は撤廃されてゆくのだな、としみじみ考えます。  

日本でも、まだいろんな差別があり、ほかならぬ自分もそれに苦しみ、あるいは加担しているかもしれない立場ではありますが、思いを馳せることは大切だなあ、と思う今日このごろです。

 ところで、昔、若かったとき、友人たちと差別について話し合っていた時、いろんな差別がなくなっていって、最後に残るのは何に対する差別か、という話題になりました。

口々に「障害者だろう」「いや、女性よ」「老人だ」と、言っている中で、元フォークシンガーだった T中K二氏がぼそっと 「そりゃ、顔の悪いもんに対する差別や、ブサイクなもんに対する差別はな、最後まで残るで。」

T中さんは、自他共に認める「ぶおとこ」だったので、笑うに笑えず困りました

ど~してるかなT中さん、彼のような社会派の歌を歌うフォークが本物で、日本で俗にいうフォークソングなんて、あ~た、歌謡曲ですわよ。
単にギターで弾き語りというスタイルを真似ただけで・・・。(^_^;)

T中さんも、CDはまだ出てるようですが、もう歌ってないみたいです・・。

キング牧師に関しては、いろいろなHPがありますので、参考になさってください。

「キング牧師の部屋」     ← こちらでもっと演説が聞けます。  


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私的世界三大ソウルフルボイス ②ホセ・カレーラス [音楽雑談]

私的世界三大ソウルフルボイスの2人目は、ホセ・カレーラスです。

 いわずと知れた「三大テノール」の一人ですが。

他の2人(ドミンゴ、パヴァロッティ)に比べ、体も小さいし、病気だったし、声もやや軽い感じがするのですが、とにかくこの人の情熱的な歌い方は素晴らしいのです。

前にも書きましたが、私的ソウルフルボイスとは、歌い手の魂からダイレクトに出た声という波動が、聞き手の魂にストレートに響き、揺さぶる、というものですが、

彼の声というか、歌は、まさにそれなんですね。

そして、絶対に手抜きをしていない・・・・
いつも一生懸命に生きている、今できることを精一杯誠実に、真剣にやっている、という姿勢がひしひしと伝わってくるのです。

それは白血病で一度死の淵をのぞいたから、かもしれないけど、それ以前から彼の歌にはそういった鬼気迫るものがあった、と思います。

レナード・バーンスタイン指揮、ホセ・カレーラスとキリ・テ・カナワ共演という信じられないラインナップの「ウエストサイド物語」メイキングVTRでも、その姿勢を見ることができます。
これは、病気になる前の録音ですが、一番の魅力のハイトーンがあまりない曲ばかりなのに、その表現力がすご~い のです。

「マリア」の歌の前に「マリア・・・」と一言セリフがあるのですが、これが、たまらん!
万感胸に迫る「マリア・・・・」なんですうぅう

それに、竜虎相打つリハーサル風景、これは素敵です。こんな火花を散らすような戦いがあって初めて、いい作品が生まれてくるのでしょうね。

ずっと前のことですが、クラシックなんかわからん、つまらん、聞きたくもない、ウエストコーストが最高!という人にCDプレーヤーを貸したことがあって、その時うっかりその中に、カレーラスのオペラアリア集のCDを入れたまま渡してしまったんですね。

そしたら、すぐに電話がかかってきて、「あれ、誰?」「?」「あのオペラみたいなすごい声の、誰?」と聞かれました。

「たぶんカレーラス」と答えると、「すごいな~、あれは聞ける、聞ける。」と妙なほめ方をして、その後プレーヤーだけが返ってきて、CDは返ってきませんでした・・・

おそらくその人にも、彼のソウルフルボイスが伝わったのでしょう。
良かった良かった (つか、返せよ・・・)

ウエスト・サイド・ストーリー メイキング・オブ・レコーディング  これが、その「ウエストサイド物語」CDメイキング

   DVDです。 ここだけのヒミツですが、Youtube で

   密かに見れます。 「マリア・・・」を堪能してください。

 

私のお勧めは、もっと高い声が聞けるアリアなんですが、これがまた、あなた、ありがたいことに、ここでひそかに見て、聞くことができます。↓

  http://www.youtube.com/watch?v=lsTO8e-e0rY

プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」の「冷たい手を」です。
「私は詩人です(中略)貧しさにひるまず、愛の詩のなかに王侯のように豊かに生きています。」と歌う、髪の毛フサフサのカレーラスは、とっても素敵

共演したプリマたちが、「本気で口説いているのかと思った」と言うのもムリはない、情熱的な歌い方です。

ちなみに、カレーラスと伝説のロックバンド「クイーン」のフレディ・マーキュリーは、兄弟弟子の間柄です。

というのは、カレーラスを見出したスペインのソプラノ歌手、モンセラ・カバリエは、実力ある若い歌手を育てるのが趣味(?)で、フレディにも稽古をつけていたとか(^_^;)         

     黄金のベスト                  Solo Collection

← 兄弟仁義

いや、深い意味はありません。 ちょっと並べてみたかっただけ (^_^;)

 

 

  


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(私的)世界三大ソウルフルボイス ①オーティス・レディング [音楽雑談]

しばらく小難しいのが続いたので、今日は、思い切り独断と偏見で語らせていただきます。

世の中には、なぜだか波長が合う、というか気が合うというか、なんともいえない相性の良さを感じるもの、あるいは時というものがあると思います。

数年前のことですが、ある会合で各地の代表が自己紹介をするという、ごくごく日常的な場面で、どういうわけか私の心の中のバイブレーションが大反応してしまって、困ったことがありました。

その人は 「北海道から来ました○○です。今、北海道は空気が澄み、鮭が川を上る季節です。」と、自己紹介されただけだったのですが、突然、私の目の前には、北海道の大原野が現れ、鮭をつかまえる熊さんの映像が、さわやかな空気が、咲き乱れる美しい花が見えてしまったのです。

そして、あろうことかそれだけで感動してしまって、ぼろぼろと涙が出、困ったことがありました。

変なヤツ、と思われても仕方がないのですが、どうしてもその感動が止められなくて、でも、何に感動したのか、自分でもわからない・・・。
まさに、バイブレーションが合ってしまった、としか言いようのないことがありました。

おそらく、その日の体調や、感受性の具合など、いろんな要素が交じり合ってそうなってしまったんでしょう。
まあ、それくらいの感受性がなければ、音楽なんてやってられんわ、ということにしておきましょう。

ところで、私にとっては、いつ聞いても感動してしまう、というかバイブレーションの合う声というのがあり、そういう声はストレートに自分の魂に響いてくる感じがするのです。

もちろん、その声の持ち主が類まれなる歌手であることも一因かもしれませんが、歌手でないこともあるので、やっぱり魂のバイブレーションが合う声、つまり私にとってのソウルフルボイスと、表現させてもらいました。

私的世界三大ソウルフルボイス、その①は、オーティス・レディング です。

いわずと知れた、ソウルシンガー、R&Bの大御所ですが、もう、小さい時から好きで好きで、よく聞いたものでした。

オーティスは絶対ライブの方が、スタジオ録音より良いので、(もちろんスタジオ録音も素晴らしいのですが)、もし初めて聞かれるのなら、ライブ盤をお勧めします。

ほんとに、どうしてこの人はこんなに、悲しい声、切ない声、敬虔な祈りのような声をしているのでしょうか。
それに、この若さ(享年26歳)にして、この風格と実力、そしてものすごい人気。

これほどまでに熟しきれば、後は果実が実り、枝から落ちるように、その先に死が待っていても不思議ではなかった・・・・(飛行機事故による)

この画像は、私が持っているLPで、モンタレーポップフェスティバル(1967年)のライブ盤です。
この写真を見ると、あたかもオーティスとジミ・ヘンドリクスが共演してるみたいに見えますが、してません。(
きっぱり

片面オーティス、片面ジミヘンという、なんだか1枚で2度おいしいというか、売らんかな精神見え見えの、レアものでございます。(それにひっかかって買ったんですが・・・)
今ではCDにもなってなくて、幻の1枚といえるんではないでしょうか?

      ←写真まずくてスマソ m(_ _)m

      ←デジカメの電池が切れてて、携帯で撮り     
                                 ました・・・

このアルバムの「I've been loving you too long」 と 「Try a little tenderness」が、ほんと、素晴らしいんです 
涙なしには、聞けません。 

ここだけの話ですが・・・・

なんとこの時の映像がYoutubeにアップされているんです。
(ただし、3分は会場にいるおねーさんばっかり映っていて、オーティスはほんの1分くらいという、サギみたいな画像ですが・・・)

も~、初めて動いているオーティスを見て、わたしゃ泣きました
(デルモナコの時もおんなじだったけど・・・

一回、見てください。 バックのMGSも、ほんとにすごい!

http://www.youtube.com/watch?v=kNDXZfk7CXA&mode=related&search=

↑これは「I've been loving you too long」 最初は「Shake」が入ってます

http://www.youtube.com/watch?v=W4PDj3IkC04&mode=related&search=

モンタレーの画像があまりにひどいので、同時期のヨーロッパツアーのものにしてみました。 これはコンパクトにまとまっていますね。

いずれにしても、お客さん大喜びで、あ~、私も見たかったわ~
 

 

 


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「惑星」が奏でる音楽 ~ケプラーの考察より~ [音楽理論]

「惑星」といっても、あの「ジュピター」が入っているホルスト作曲のものではありません。

先日、冥王星が惑星の資格(?)取り消しとなりましたが、あの、水、金、地、火、木、土、天、海の惑星です。(やっぱり、冥がないと語呂が悪いなぁ・・・・

最近、高校で地学をやらなくなったということで、ケプラーといっても、誰?と思う人も多いと思います。
その地学の中に、天文学が入っていて、ケプラーの法則やら、対数計算やらを習ったものでした。


私は高校時代、国公立大を目指している人たちの中になぜか入っていたので、地学、化学、物理、生物ぜ~んぶやらされました。
もち、化学、物理は実験までついていて、ほとんどの時間、立たされてましたね~(^_^;)

おかげで足は強く、たくましくなりましたが・・・・

で、時々地学なんて知らない、という人をつかまえては「モホロビチッチ不連続面、知ってる?」とか、「ケプラーの法則知ってる?」とか言って、優越感にひたっているのですが  (立たされてたくせに・・)

ヨハネス・ケプラー(1571~1630)は、ドイツの天文学者、数学者で、いわゆるケプラーの法則(1,2,3とある)で有名です。

彼は「新天文学」 「宇宙の神秘」 「世界の調和」などの本を書き残しましたが、今日のテーマは「世界の調和」の中で述べられている、「惑星が奏でる音楽」についてです。

当時、大学で学ばなければならない学問として、リベラルアーツ(自由7科)というものがありました。
今の大学の履修科目から考えると意外なのですが、当時は修辞学とか文法、算術、幾何学などと同じく音楽が必修科目になっていました。
音楽と言っても現代に当てはめると、音響学に近いものであったようです。

ケプラーは 「すべての惑星軌道は楕円である。」 「惑星の公転周期の2乗は平均軌道半径の3乗に比例する。」等の、ケプラーの法則を発見しましたが、これらの中に、美しい関係を見出していたようです。

彼は著書「世界の調和」で、その天上の美しい関係を、音楽で表現しようと試みました。
つまり、惑星たちの太陽からの角速度の比を音に置き換え、おそらく宇宙で惑星が奏でているであろう音を創造したのです。

たとえば、木星の最小・最大角速度の比は、5:6。 これを音程にあてはめると、ちょうど短3度の比になるわけです。 (短3度とはラとドなどの音程)

そういう風に各惑星の速度比を音程に置き換えていくなかで、全惑星が一直線に並ぶときには、多重和音が奏でられることになり、これが神による天地創造の瞬間ではなかったか?という推論に達するのでした。

ケプラーは自己の研究を進める中で、実際には聞こえないが、おそらく神には聞こえているであろう宇宙の美しい音楽に、思いを馳せていたのですね・・・。

おお、なんとロマンチックな

こういうことを授業のなかで教えてくれてたら、私も地学の時間ずーっと立たされている、なんてなことはなかったんじゃない??でしょうか・・・

  で、ケプラーが聞いた惑星の音楽を楽譜にしてみました。

実際はとても古い記譜法で書かれているので、今の記譜に直してあります。

 

* 水星

 

* 金星

  

* 地球 
  
* 火星

 

* 木星

 

* 土星

  

* 月

注: フェルマータはここでは2倍のばしてください

 当時はまだ、天王星、海王星は発見されてなかったのでしょう。 そのかわり、月がはいっています。

ひとつひとつを、音やテンポを考えて弾いてみると、けっこう神秘的な感じで面白いと思います。

しかし、これが同時になるとどうかなあ~

やかましいだけだと思いますが・・・・(^_^;)

ともあれ、秋の夜長、星空をながめながらこんなことを考えていた偉大な、というかロマンティックな天文学者がいた、ということに思いを馳せてもいいんじゃないでしょうか


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「ジャイアント・ステップ」 コルトレーンのコード進行について [Jazz]

長らくお待たせいたしました。「ジャイアント・ステップ/コルトレーン」のコード進行について、お話したいと思います。

これは、現時点での私的な考察であり、また自分自身のための覚書でもありますので、一つの考え方として捉えていただければ、ありがたい、と思います。

ではまず最初に、「ジャイアント・ステップ」のコード進行を見てください。

 

  B    D7      /  G    B♭7  /   E♭ /  Am     D7  /

  G   B♭7  /  E♭  F♯7 /     B      /  Fm    B♭7 /  

      E♭  /   Am   D7   /     G      /  C♯m 7   F♯7 /

     B          /   Fm    B♭7 /    E♭ / ( C♯m7   F♯7)  //

 

ということで、なんじゃ、こりゃ の世界ですね~、これをもって「コルトレーン進行」とか「ジャイアント・ステップ進行」と称するそうですが・・・・。

この曲は難曲中の難曲とされ、あまたのミュージシャンがチャレンジを試みていますが、アドリブの途中で行き詰ったり、あきらめてバッキングに徹してしまったり、とエピソードには事欠かない曲です。

え、私ですか? ぶるぶる、と、とんでもないですわ、一生絶対人前では弾きませんわ。 (ただし、密室秘儀悦楽はありうるかも・・・)

で、以前からなんでこんな難しい曲をコルトレーンは作ったのか、ず~っと、というか、時々暇なときというか、気が向いた時に考えていたんですが。(^_^;)

理論書やら、いろんな人の解説やらを読むと、「短3度、完全4度を繰り返す進行、これをコルトレーン進行という」なんぞと書いてあって、その行間からは「ごちゃごちゃゴタクならべんなよ、丸覚えしろ、丸覚え! 俺だってはっきりわかんねえんだ、つっこみはなしだぜ。」みたいな雰囲気が、漂ってるように感じたのは、私だけ~?かも。

でもこれでは納得いかないので、じ~っと楽譜(リードシートですが)見つめて、自分なりに考えてたんですわ。

で、ある時、エルビン・ジョーンズ(コルトレーンと活動を共にしたドラマー)が来日した時に、このコード進行について、図を描いて説明していた、ということを聞いて、はた、とひらめいたんですね。

 「サイクル・オブ・5thとちゃうやろか

ということで、描いてみました。 

(ていうか、図は下請けに描いていただきました・・・・。)

                                                                           
                                           

                          ↑ サイクル・オブ5th ( 5度圏のサイクル )

えと、この図はジャズやポピュラーでよく使うものなので、クラシックで使用するものとは、向きが逆になっています。

GはCへ、CはFへ、と進む訳ですね。

 ここでとっても大切なことを一つ。 つまり、西洋音楽の和声は5度進行が基本である、ということです。  ドミナント・モーションやモーション・オブ5thといった、5度進行があったからこそ、西洋音楽が発展したのだ、という説もあるのです。

ですから、私が納得できなかったさっきの解説、「短3度、完全4度進行説」は、コード1つずつを見ると確かにそうですが、肝心な5度進行について言及していないからわかりにくかった、もう少しいえば、転調についても無視していたので、もっとわかりにくかった、といえるのです。(私だけかもしれませんが・・・)

では、もう一度ジャイアント・ステップのコード進行を見てみましょう。
この曲は、目まぐるしいほどくるくると転調を繰り返していますが。

そのトニックにあたるコードを取り出してみると、B,G、E♭、この3つであることがわかります。

トニックの直前のコード、D7,  B♭7 , F♯7 はそれぞれ次の G,E♭、Bに対して5度進行(ドミナント・モーション)していることがわかりますね。
ですから、サイクル・オブ5thの図で見ると、D7はGへ、B♭7はE♭へと、法則どおりにお隣へ進んでいます。 (ルート音を見てください。レミファソ、じゃなく、レドシラソと5度下がります。)

ここまでは、誰でも気がつく当たり前のことですが、問題はこのドミナントモーションではなく、転調前のトニックコードと転調先のトニックとの音程だったのです。

つまり、BとGは、シドレミファソ、の増5度、GとE♭も増5度、E♭とBも増5度の音程になるように作られているのです!

ここで、もう一度、コード進行図を見てください。

横の流れの、1段目1,2,3小節のB,G,E♭はそれぞれ増5度。
同様に、   2段目5,6,7小節目のG,E♭、Bも、増5度。

3,4段目は9,11,13,15小節目のE♭、G、B,E♭も増5度ですが、こちらは後で説明しますが、曲の後ろから逆に音程を勘定してください。

そして、縦の1段目、2段目、3段目、4段目の1小節目のコード、B,G,E♭、B,と各々3小節目の E♭、B,G,E♭も、増5度関係にあることが、わかります。

なんと、縦、横ともに増5度になるように作曲したわけですね、やっぱり、こりゃ天才ですわ    すご~い


そこで、もう一度下請け作のサイクル・オブ5thの図に、これを乗っけてみると・・・・

             

なんということでしょう

 赤線で示したように、B,G,E♭を結ぶとサイクル・オブ5thの円の上に、正三角形ができたではありませんか!!

図を見ながらコードをたどっていくと、前半は B → G → E♭いったんGに戻って、E♭ → B と、時計回りに、正三角形ができます。

そして、曲の後半は、今度は E♭ → G → B → E♭ と、今度は逆回りに正三角形が描かれる、というわけなのです。

う、美しい・・・これが数学者のいうところの、エレガント、ということなのか・・・

たぶん、エルビン・ジョーンズはこの図を描いて、説明したんだと思います。

ドミナント・モーションはさっきも書きましたが、完全5度下へ解決します。
増5度とは、完全5度よりも半音多い音程です。

通常のドミナント・モーションであれば、5度ずつ図のようにお隣へ、お隣へと、ちょびちょび進んでいくのですが、ほんの半歩(半音)増えただけで、コード3個すっとばして進んでいくという 大また歩き になっちゃう、という魔法のような進行を、コルトレーンは創造していた ということなのです。

 ほんの半歩(半音)増やしたら、すごい大また歩きになった
  
  これが「ジャイアント・ステップ」命名の真実ではないでしょうか 
   

コルトレーンは天才だ! これからは、「ジャイアント・ステップ」を聞くとき 「で~か~い~あ~し~」なんて歌わずに、黙って円に内接する正三角形を書きながら、敬意をささげようっと 

Giant Steps     ←これがその「でかい足」です。

   「バラード」と比べると、何があったの?

   と聞きたくなるほどの、トンガリぶり

        

 

東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・歴史編     ←  これは、かの菊池成孔さんの著書です。

       似たようなことが書いてある、とのことですがナナ

       メ読みでは、該当箇所見つけられず・・・・

       誰か、探して      


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調の意味について 補足 [音楽理論]

 おかげさまで全調踏破いたしましたが、今日は不十分だったところや、後になってわかったことなどを補足したいと思います。

そもそも調に意味というか、性格づけで有名なのは、バロック時代のマッテゾンという作曲家で、彼の「新設のオーケストラ」という著書のなかで調性格論が述べられています。

しかし、彼もまたいろいろなところから引用をしてきているらしく、はっきりとこれだ!というような原典みたいなものは、見つかりませんでした。 しかも、マッテゾン説に異論を唱えている学者もいて、これは相当やっかいな感じです。

おそらく各地で伝承されてきたものなどがあり、それを集めてきたのではないでしょうか?
今は、そう推測するしかないと思います。

インドのラーガ(音階)なんかも何百種類とあるのに、その一つ一つに意味があって、もお、ややこしいことこのうえない、というくらいですから、西洋の音階にそれがあっても不思議ではないと思います。

それから、調べていく中で、つきあたった問題の一つに、ピッチの問題がありました。

現在私たちが演奏している楽器は、1点イ音(つまり真ん中のラ)が約440Hzに調律されており、この楽器でさまざまな調を演奏しているわけですが。

(約440Hzと言った理由は、最近のオーケストラでは442とか、445とか、少しづつ高くチューニングされるのが主流になっているからで、 その方が輝かしい響きになるからです。)

このグローバルスタンダードの440Hzは、1939年、ロンドンで行われた国際会議で定められたもので、それ以前はもっと低いピッチだったのです。

たとえば日本では1948年に世界標準440Hzに改められるまでは、ラ=435Hzを使っていました。 同様に各国それぞれバラバラのピッチでやってたらしいので、世界標準が必要とされ決められたのでしょう。

ですから、バッハや、ヘンデルや、モーツァルトが演奏し、作曲していたピッチは、今私たちが演奏しているピッチとは、違っているということなのです。

バロック時代はラ=440Hzは一般的ではなく、ドイツのパイプオルガンは465Hz(コアトーン)、木管楽器とチェンバロは415Hz(カマートーン)、ヘンデルなどが使っていたフレンチピッチでは392Hz(ティーフカマートーン)と、まあさまざまなピッチが使われていました。

465Hz・・・440より、約半音高い  
415Hz・・・440より、約半音低い  
392Hz・・・440より、約全音低い

ということになり、それぞれハ長調を弾くと、変ニ長調、ロ長調、変ロ長調に聞こえることになってしまいます。

それじゃ、その時代のマッテゾンの調性格論なんて、現代には無意味じゃん、と言いたいところですが、

作曲家は本歌取りじゃないけど、必ず自分より以前の作曲家の影響を受けて曲を作るものですから、やっぱりマッテゾンの考えはピッチが変わっても伝統として継承されているんじゃないでしょうかね。(と、無理やり解決)

たとえば、「英雄の調」とか、「死を表現する調」とかありましたよね。

でも、現代の楽器でピッチで演奏される自分の曲を聴いたら、モーツァルトや、バッハは何て言うでしょう。

「違う、違う、そんなんじゃないよ」って言うでしょうか。 それとも 「ピッチが違っても、いいね~、名曲じゃない」っていうでしょうか。

後者であってほしいですね、これだけの長い時間、人々の心を慰め、癒し続けてきた名曲ですもの。

ところで、最近では当時のままの楽器とピッチで再現、演奏されているCDがたくさん出ていますが、これが聞けない人たちがいます。

所謂 「絶対音感」の持ち主で、融通のきかないタイプの人です。

私の生徒にもいますし、講師仲間の先輩、同輩、後輩のなかではむしろ「絶対音感」が当たり前で、私のような「相対音感」は珍しい部類なのですが。

特にラ=440Hzで訓練された「絶対音感」は、オーケストラに入れない、古楽は聞けない、民謡とか、民族音楽は音痴に聞こえる、442Hzに調律されただけで眩暈がする、吐き気がする、移調奏ができない、ともうさんざんです。
(ふっふっふ、昔いじめられたので、仕返しをしています)

こんなんでも「絶対音感」をつけたいんでしょうか? 「絶対音感」をつける教室は結構流行っていて、通信教育まであるそうですが。

それに「絶対音感」があっても音楽性や、表現力とは関係ないよ、ヘタクソな人いっぱい見たもん(聴音のテストの時は役に立ちますが)

近い将来、ラ=442とか5になったら、どうするんでしょう。 古楽の典雅な響きを聞けないのも、可哀想ですね。

と、ひとしきり復讐は終わったのですが、えと、なんでしたっけ?

年取るといかんわ、話は脇道にそれるわ、しかも長いわ、本題忘れるわ・・

あ、そうそう、それでその後わかったことですが、

イ長調・・・・情熱的なことを表現

だそうです。

また、詳しいことがわかったら、その都度補足したいと思います。

あ~、これで心おきなくジャイアント・ステップにいけそう~

 後期バロックの室内楽曲集                

    ←マッテゾン作曲のソナタが入っています。

      ト短調です、絶望に打ちひしがれる調でしたね。

      「後期バロックの室内楽曲集」

 

 


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調の意味について その⑨ [音楽理論]

いよいよロ長調、ロ短調です。これで全調網羅しましたね。
(調べきれないことも多かったけど・・・また補足します。)

 ロ長調 (Bmaj, H-dur)

ロ長調は、「重々しい、宗教的な」というような意味を持っています。

ピアノを弾く人から見ると、この調は指の長さと鍵盤の白鍵、黒鍵が合っているので、弾きやすい調だということができます。

が、♯が5つもついているので、たいがいびびる、というか、あんまし弾きたくない調なんです。

特に、ジャズ系統で管楽器とアンサンブルする機会の多い人なんかは、嫌がります。 私も、フラット系のほうがラクです。

実際はほとんど黒鍵なので、割り切れば弾きやすいんですけど・・(^_^;)

という訳なのか、どうなのかは知りませんが、ロ長調はあまり曲の主調として使われることは少なく、むしろロ短調の同主調、あるいはホ長調の属調として用いられることの方が多いようです。

ロ長調の名曲は、やはりちょっと少なくて、 ベートーベン「幻想曲」 ヴェルディ「リゴレットの女心の歌」  くらいでした。

 

ちょいモテオペラ~オペラ・エレガンテ~ ←  これは、何ですか、ちょいワルおやぢ必携ですか? レオンとニキータって、あんた!?(~_~;)

  ただ、オペラのアリア入門としては、いいかもしれません。 (すばやい立ち直り

  私の大好きなホセ・カレーラスも入っていますし、「女心の歌」は、今をときめくアラーニャが歌っています。

「ちょいモテ オペラ・エレガンテ」  タイトルが泣かせるわ~

 

 ロ短調 ( Bm, H-moll)

ついに、ロ短調にやってきました! あ~、ここまでくると感慨深いものが・・・(ちょっと遠い目) ← 大げさ~

ロ短調は、 「宗教的で清楚、受難、メランコリック」などを表現する、といわれています。 

しかしこれ以外に、「奇異で不快、不吉」などの意味もあり、修道院や僧院では、そのためこの調を排除していた、ともいいます。

上記の意味から、「死を考えるにふさわしい調」という意見もあり、名曲もそういったものが出てきました。

ロ短調の名曲は 、シューベルト「未完成」 バッハ 「ロ短調ミサ」 チャイコフスキー「悲愴」 などです。

「未完成」なんかは、シューベルトの死によって、永遠に未完成になってしまったのですから、それを予感してこの調を選んだのかしら?などと、ちょっと考えてしまいました。

シューベルト : 交響曲第5番&第8番「未完成」   ← シューベルトの「未完成」です。

    子供の頃、「世界の偉人」みたいな伝記で、

    音楽家の生涯を読むと、たいていビンボーで

    ビョーキで悲惨だった。(ーー;)

    こうはなりたくない、と思ったけど・・・

シューベルト 交響曲第5番&8番「未完成」

 

 


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