「惑星」が奏でる音楽 ~ケプラーの考察より~ [音楽理論]
「惑星」といっても、あの「ジュピター」が入っているホルスト作曲のものではありません。
先日、冥王星が惑星の資格(?)取り消しとなりましたが、あの、水、金、地、火、木、土、天、海の惑星です。(やっぱり、冥がないと語呂が悪いなぁ・・・・)
最近、高校で地学をやらなくなったということで、ケプラーといっても、誰?と思う人も多いと思います。
その地学の中に、天文学が入っていて、ケプラーの法則やら、対数計算やらを習ったものでした。
私は高校時代、国公立大を目指している人たちの中になぜか入っていたので、地学、化学、物理、生物ぜ~んぶやらされました。
もち、化学、物理は実験までついていて、ほとんどの時間、立たされてましたね~(^_^;)
おかげで足は強く、たくましくなりましたが・・・・
で、時々地学なんて知らない、という人をつかまえては「モホロビチッチ不連続面、知ってる?」とか、「ケプラーの法則知ってる?」とか言って、優越感にひたっているのですが (立たされてたくせに・・)
ヨハネス・ケプラー(1571~1630)は、ドイツの天文学者、数学者で、いわゆるケプラーの法則(1,2,3とある)で有名です。
彼は「新天文学」 「宇宙の神秘」 「世界の調和」などの本を書き残しましたが、今日のテーマは「世界の調和」の中で述べられている、「惑星が奏でる音楽」についてです。
当時、大学で学ばなければならない学問として、リベラルアーツ(自由7科)というものがありました。
今の大学の履修科目から考えると意外なのですが、当時は修辞学とか文法、算術、幾何学などと同じく音楽が必修科目になっていました。
音楽と言っても現代に当てはめると、音響学に近いものであったようです。
ケプラーは 「すべての惑星軌道は楕円である。」 「惑星の公転周期の2乗は平均軌道半径の3乗に比例する。」等の、ケプラーの法則を発見しましたが、これらの中に、美しい関係を見出していたようです。
彼は著書「世界の調和」で、その天上の美しい関係を、音楽で表現しようと試みました。
つまり、惑星たちの太陽からの角速度の比を音に置き換え、おそらく宇宙で惑星が奏でているであろう音を創造したのです。
たとえば、木星の最小・最大角速度の比は、5:6。 これを音程にあてはめると、ちょうど短3度の比になるわけです。 (短3度とはラとドなどの音程)
そういう風に各惑星の速度比を音程に置き換えていくなかで、全惑星が一直線に並ぶときには、多重和音が奏でられることになり、これが神による天地創造の瞬間ではなかったか?という推論に達するのでした。
ケプラーは自己の研究を進める中で、実際には聞こえないが、おそらく神には聞こえているであろう宇宙の美しい音楽に、思いを馳せていたのですね・・・。
おお、なんとロマンチックな
こういうことを授業のなかで教えてくれてたら、私も地学の時間ずーっと立たされている、なんてなことはなかったんじゃない??でしょうか・・・
で、ケプラーが聞いた惑星の音楽を楽譜にしてみました。
実際はとても古い記譜法で書かれているので、今の記譜に直してあります。
* 水星
* 金星
* 地球
* 火星
* 木星
* 土星
* 月
注: フェルマータはここでは2倍のばしてください
当時はまだ、天王星、海王星は発見されてなかったのでしょう。 そのかわり、月がはいっています。
ひとつひとつを、音やテンポを考えて弾いてみると、けっこう神秘的な感じで面白いと思います。
しかし、これが同時になるとどうかなあ~
やかましいだけだと思いますが・・・・(^_^;)
ともあれ、秋の夜長、星空をながめながらこんなことを考えていた偉大な、というかロマンティックな天文学者がいた、ということに思いを馳せてもいいんじゃないでしょうか
ほんと、ロマンチックですね!(*^_^*)
確かに同時に鳴るのは・・・ですが・・・(^_^;)
プラネタリウムなどでも、BGMが流れることにより高揚します。
by 月 (2006-10-22 21:16)
アルキメデスも確か、スケールを
考えてましたよね…
科学者は、音楽がお好き…というか、
シンクロさせて考えるんでしょうか?
そういう発想は、非常に共感します。
僕を音楽の道に誘ってくれた一人、
坂本龍一氏も自身のエッセーで
「音楽の恩寵は、数学と建築と
快楽を一体化させる事が出来る。」
って語ってたな~。
by Kiichi (2006-10-25 01:57)